福岡県福岡市
医療法人 吉村病院
事務長 宗盛誠司様ケアミックス病院ではあるが地域の救急医療を担う病院。
昭和28年に開業し、小回りが効く地域の人がいつでも入れるような病院づくりを目指している。
小規模である特性を生かし、地域密着型の医療を提供している。
宗盛事務長は吉村病院以前にも医療機関の事務部門の役職を歴任。病床数:57床(急性期29、地域包括28)
ーーまず初めにリンクウィズを知ったきっかけを教えていただけますか。
最初は寝具や衣類の洗濯をお願いしている洗濯会社さんからご紹介を受けたのがリンクウィズを知ったきっかけでした。
紹介してもらう前から、看護部長と入院セットの導入自体は検討をしていたんですよね。
看護部長が以前の勤務先でも入院セットを検討していたことがあったので、メリットなどは十分に理解していたと思います。
本腰を入れて検討するにあたって「どこかいいとこ知らない?」と取引先に聞いて、紹介してもらったことがきっかけで、入院セット導入の検討が本格化したという流れになります。
ーーなぜ入院セットの導入を検討されていたのでしょうか?
以前から救急で何も持たずに入院してくる人が多くて困っていたのが一つの理由です。
もう一つは新型コロナウイルスの流行により、患者さんとご家族の方の面会を制限せざるを得ない状況になったことが大きかったと思います。
面会制限のせいで家族と患者さんの荷物の受け渡しが直接できず、職員が患者さんと家族の間を取り持つことになり、どうしても大きな負担になっていました。
衣類だけでなく日用品も家庭から持ってくるとなると、どなたも紙袋2つくらいの荷物になってましたかね…
量もかなり多かったです。紙おむつも持ち込むとなるとそれ以上の荷物で、側から見ていて小さな引越しのようでした…
その荷物の量をロビーで家族とやりとりする業務負担は大きいというのがどの病院も本音なのではないでしょうか。
もちろん職員だけでなく、病院までお持ちいただくご家族の負担も軽減したいと思っていましたね。
ーー現場職員だけでなく、ご家族の負担も軽減したいという思いがあったんですね。
当院は急性期の病院ですので、救急搬送が多くいろんな方が入院されます。
文字通り手ぶらの状態で来られる方もいらっしゃいます。
そういった方は必要な衣類や日用品がない上に、今は外出制限をしているので、近くのコンビニやドン・キホーテで職員が代理で購入する必要があります。
実際には、個人のお金を預かることなので責任者の私が代理で買い物に行くことが多かったのですが、1日に3回も買い物に行くこともありました…苦笑
売店が無い病院だとこういった悩みをお持ちの方も多いと思います。
正直な話をすれば、ご入院されている本人も喜んで私に下着まで買いに行って欲しいなんて言う人はいなかったでしょうから。
その点でも入院セットを入れたいと思っていましたね。
入院セットを採用する前の苦労と運営会社の比較検討
ーー普段の業務がある中でそういった代理の購入はたいへんそうですね。
外出制限は病院の都合で実施しているので、病院が代理で購入する責任があると考えていました。
本当は患者さんも必要なものは自分で選んで購入したいだろうとは思うんです。
それでも感染対策のためには致し方ない措置でした。
ーー紙おむつが必要な場合はどのように提供されていましたか?
病棟に紙おむつをストックしており、提供した紙おむつを1枚ずつ入院費と一緒に請求していました。
病棟のスタッフが提供した数を数えて、事務部に伝票を渡して請求書を作成します。
どうしても手作業なので数え間違いが発生してしまいますし、個人に払い出した紙おむつのカウント作業や請求書の作成作業をどうにか減らしたいと考えていました。
小さなことかもしれませんが、紙おむつの伝票の正誤を病棟の現場職員と事務職員で相互確認することで生まれがちなギクシャクも無くしてしまいたいと責任者としては考えていました。
このギクシャクはどこの病院でもあるあるなんじゃないかと個人的には思っています。
別の病院に勤務していたときにも、紙おむつのカウントの問題とズレは小さいけれども大きな問題になっていましたから。
事務方からすれば正確な請求書を作らなければいけない。現場とすれば忙しい中できちんとカウントすることの難しさがある。
この問題は入院セットを採用してカウントレスにすることで無くしてしまいたいと考えていました。
ーー入院セットの運営会社を選ぶ際に比較検討はされましたか?
そうですね、合計3社から提案を受けました。
あまり多くても決めるのが難しくなるので3社にしました。
その中の1社はリネン業務をメインとされている会社だったので、正直に言うと話を聞いてる中で入院セットの業務を任せるには不安だなと感じてしまいました。
リンクウィズともう1社は入院セットを事業のメインとされているので、非常に安心感がありましたね。
ーー最終的に2社のうちからリンクウィズ社を選んだのはどういった理由でしょうか?
話が少しずれてしまうのですが、私が以前の職場でIT部門を担当していた頃に、ベンダー(システム)の入れ替えを経験しました。
その時に学んだことなのですが、大手のメーカーは少しの変更を依頼してもなかなか動けないんですよね。
ユーザーが多いので影響範囲も大きいため、小さな変更に見えても難しいのは理解できます。
けれど、中小規模の病院の立場で考えると、言い過ぎかもしれませんが、その小さな変更ができないことが致命的になりかねません。
当時担当したシステムは、運用をしながら細かく変更していくことを見込んでいたので、最終的に小回りの効く中小ベンダーに入れ替えをしました。
中小企業の方が小さな変更には柔軟に対応できてスピードが速いことが多いんですよね。
今回はその時の学びを活かして、業界大手の会社ではなく、小回りが効くと周辺の病院で評価の高かったリンクウィズさんを看護部長に推薦しました。
実際のところ提案された金額はほとんど変わらなかったので、対応に対する期待で判断しましたね。
実際入院セットも運用する前と運用し始めてからで、「これは必要なかった」「これが必要だった」ということが起こるだろうと思いましたし、実際に起こりました。
そんな時にもタイムリーに対応してもらえるかどうかというのは非常に重要なことだと思います。
他社を上回るフットワークの軽さで病院をサポート
ーー小回りが効くかどうかについてはどこで判断されましたか?
まずは会社の規模感ですよね。
ただ、小さいから必ずしも良いということではありませんから、その辺には注意が必要だと思います。
実績の確認や、周辺の病院の評判も確認が必要だと思ってました。
実際にそれぞれの会社の口コミは確認させてもらいました。選んだのはいいけれどイマイチじゃないかという声が現場から上がっても困りますからね。
あとは、商談や打ち合わせを重ねていけば小回りが本当に効きそうかそうでないかは見えてくると思います。
ーーリンクウィズを実際に選んでみて、期待されていた小回りが効くかどうかというポイントはいかがでしょうか?
その点に関しては、今のところこちらの期待通りと言えますね。
特に印象的だったのは、どうしても他社が欠品していて仕入れができない商品があり、病院としてとても困ったことがあったんです。
入院セットとは関係ない商品だったのですが、ダメもとでリンクウィズさんに相談したことがありました。
どうやって見つけてきたのか分かりませんが、すぐに仕入れて販売いただいた時は非常に助かりました。
リンクウィズさんは「たまたま見つかっただけ」だと言っていましたが、関係企業や取引先との普段からの信頼関係があるからこそできることだろうと思います。
通常の業務についても、呼んだら駆けつけてくれるし、基本的な業務も非常にうまく回してくれていると思います。
入院セットは導入してみないと分からないこともたくさんあると思うんですね。
そんな時でも他の病院の事例や動向をもとに病院に寄り添った提案を常にしてくれる点もとても評価しています。
あとは担当者のキャラクターですかね。人懐っこい彼の性格にどうしても現場も皆で手を焼いてしまうんじゃないでしょうか。笑
入院セット導入時に気を付けたいこと
ーー実際に導入してみて荷物の受け渡しや代理購入の負担は軽減されましたか?
ほんの一部の方は入院セットを利用されていないので完全にゼロにはできてはいないものの、負担はかなり軽減されているという実感があります。
ロビーで職員が荷物の受け渡ししている姿はほぼ見なくなりました。
ご家族からも荷物が無くなって楽になったと言われますね。
ただ、皆さんに理解していただいてこそだと考えているので、説明の仕方には工夫をしています。
ーー具体的にはどういったところでしょうか?
そうですね、入院セットは便利なのでなるべく多くの方に使っていただきたいですが、利用に対して強制力のあるものではありません。
説明の仕方によっては患者さんに強制だと感じられてしまい、クレームへと発展しかねません。
リンクウィズさんはそこを先回りし、導入前に説明用の台本を提案してくれました。
そのあたりは病院に比べて運用する会社の方が詳しいので、提案いただけることは安心につながりました。
台本の中身も導入後にこちらの状況を聞いてくれて、少しずつ改訂してくれています。
ーーその他に導入してよかったと感じることはありますか?
そうですね。周辺の病院もリンクウィズさんで入院セットを始めるところが増えているので、その辺も安心感があっていいなと思っています。
説明する前にリンクウィズさんの入院セットを使ったことがある方も多いので説明も楽ですね。
「前のところでもここのセット使ってたわ」と言われることも多くなっています。
また、事務方としては病院で紙おむつや日用品の在庫を持たなくて良くなったのはいいなと感じています。
発注や在庫管理が不要になったのはもちろんですが、定期的な棚卸しや使用期限の確認をしなくてよくなった物品が増えました。
在庫は資産でもありますが、同時に負債でもあると思うんですね。
保険外の物品の在庫を持たなくなることでキャッシュフローにも多少の影響があると思います。
ーーこれから入院セットを導入する方に向けて、導入時に気をつけることや工夫した点を教えてください。
盲点だったなという点は病院の収入面でしょうか。
どの病院も初めて入院セットを運用するというところが多いと思うんです。
当初から、リンクウィズさんからは病院の手数料、すなわち収入面はある程度確保した方が良いとアドバイスされていたのですが、患者さんやご家族の反応が分からない部分が大きいと思ったので導入当初は少なめに設定してしまいました。
入院セット導入のタイミングで患者さん・ご家族の反応も思っていたより悪くなく、病院の収入面もやはり考えた方が良いと思うようになったんですね。
その時にもリンクウィズさんに相談したところ、的確にアドバイスや提案をもらえました。
現在では病院の収入面でもとても満足しています。
どこの病院であっても、入院セットの価格について不安に思う部分は多少あると思うんです。
そんな時はリンクウィズさんに正直に聞いてみた方がいいと思います。絶妙なラインを提案してくれると思いますから。笑
併せて大切になるのはやはり利用率だと思います。
利用している患者さんの数に応じて手数料も発生しますから。
この二つは切っても切れない関係でしょうね。
ーー利用率について特に取り組んだことはあったのでしょうか?
病院として取り組んだことは方針を決めてリンクウィズさんと共有したことでしょうか。
「基本的には入院セットの利用をお願いして欲しい」と言う点をリンクウィズさんには伝えました。
基本的な病院の方針を伝えたあとは導入の1ヶ月くらい前から病院内に常駐してくれた担当の欠掛さんが家族や患者さんへの説明をしてくれました。
基本的には欠掛さんの説明で十分でしたが、患者さんや家族によっては紙おむつの使用量や生活保護を受給しているなど細かな確認事項も都度出てきます。
そう言った方については、病院のスタッフと欠掛さんの間で情報を共有しながら個別に対応していきました。
基本的には入院セットを利用してもらい、申込みをしないと言う方についてはご家族に不足なく補充をしてもらうと言う病院のルールも決めておいて良かったかなと思います。
持ち込みなのか・入院セットなのか・病院から請求するのかなど選択肢を増やすといつまで病院としてそれをやり続けるのかキリがなくなるなと思い導入のタイミングで病院からの払い出しは止めてしまいました。
最初は不安なことがどこの病院さんも多いと思いますが、「病院の基本的な方針を決めてリンクウィズさんに基本的に動いてもらうこと」 「病院名で出す必要のある書類もアドバイス通りに用意する」大きくこの2点を実行すればあとはお任せしてしまった方がよいと思いますね。
ーー最後に、今後のリンクウィズに期待することはありますでしょうか?
正直、今以上に求めるものは今のところはないですね。
ただ、現時点に満足することなく今後も頑張ってもらいたいなと思っています。
病院としても、今後も継続して小回りの効く対応をしていただけることを期待しています。